つくしが、妊娠してから約10ヶ月経った頃。
今日は、久しぶりにみんなで集まって、お喋りを楽しんでいる姿の類とつくしがあった。
・・・・が、そこには司の姿はなかった。
やはり、来るのが辛かったに違いないだろう。
「つくし、おなかの調子はどう??」
滋がつくしのお腹を見て問いかける。
「うん。大丈夫♪でも、最近は、ちょっとツラい・・。」
つくしはお腹をさすりながら言う。
「そっか。ちゃんと安静にしなきゃダメだよっ!!」
「うん。ありがと。」
「ねぇ、牧野センパ・・・じゃなくて、つくし先輩。私、思ったことがあるんですけど・・。」
「ん?何、桜子?」
「つくし先輩って、この3年間の間に、すっっごいキレイになりましたよね??」
「ははっ!!やだなぁ〜、桜子ったら!!」
本人のつくしは気付いてはいないようだが、確かにこの3年間の間につくしは魅力的な女の人になっていた。
腰の辺りまで伸びた、ツヤのいい髪。
大きな瞳には、力強さも感じられる。
そして、白く透き通るような肌。
折れそうに細い、腕、腰、足。
なにより、笑顔が一番の魅力だった。
「・・・あぁ。確かに、牧野は変わったよな。。」
総二郎と、あきらも頷く。
「ムネも前と比べたら、大きくなったし・・・。」
その言葉を聞いて、つくしはおもわず赤くなる。
「類の努力のおかげだね!!うんうん。」
「類も、こんないい女が傍にいるなんて羨ましいねぇ!!このこの!!」
あきらが、類の背中を『バンバン!』と叩く。
「やめろよっ!!」
総二郎とあきらは、いつものようにお笑いコンビをやっていた。(笑)
「それじゃ、俺らはそろそろ帰るとするかっ!!」
「そうですねっ!」
総二郎や、あきら達がソファーから立った。
「えっ!?もう帰っちゃうの?」
「あぁ。お二人の仲を、あんまり邪魔しちゃいけないですからねっ♪」
「・・・総二郎!!」
類の頬が少し赤くなった。
「先輩!私達も帰りますから、ご心配なく♪」
「桜子っ!!」
つくしの頬も赤い。
「それじゃ、ごゆっくり♪」
「また遊びに来くからね!つくし!!」
バタンッ!!
「なんだよ、アイツら。」
「ほっっんと、訳分からないわよっ。」
『ふぅ』と、つくしはため息を付いて、立ち上がった。
「それじゃ、もうそろそろお昼にしよっか、類。」
「あぁ。」
つくしは、服の腕をまくって、気合いを入れていた。
「久しぶりの料理だから、腕がなるわっ!!だって、最近はお手伝いさんに任せっきりだったもの!!
えーと、何がいいかな??んー、オムライス??あ、でも・・。えっとぉ??」
つくしは、あごに手を当てて、一生懸命考えていた。
類は、その一生懸命になっているつくしの姿が、とても愛らしくみえた。
無意識に、類はつくしを抱きしめていた。
「ち、ちょっと類?」
つくしは、突然の類の行動に、思わず戸惑う。
「大丈夫?どうかした?」
類は、『にっこり』と微笑んで言った。
「いや、なんでもないんだ。」
そういって、つくしの頬にキスをした。
「元気な子、生んでくれよ。つくし。」
「うん。当たり前よ!!まかしといて!!あ、今日はオムライスね!!
私、頑張って作るから♪類はその辺で適当に待っててね。」
「あぁ。」
つくしも、類の頬にキスをして、台所へ向かおうとした。
類は、つくしに言われた通りに、ソファーに座り、本を読んで待ってようとした瞬間−−
ガターッ!!
何かが倒れる音がした。
物が倒れる音ではなく、人間が倒れた音だ。
「つくしっっ!!??」
類は、急いで台所に向かった。
「つくしっっ!!??」
つくしは、台所の床に倒れ込んでいた。
「あ、類様!つくし様が!!つくし様が!!」
そこには、数人のお手伝いさんが、つくしの手をとって、オドオドしていた。
類は、目の前が真っ暗になりながらも、つくしに駆け寄った。
「つくしっ!!大丈夫かっ??」
「お腹・・・・お腹が痛い・・・!!」
つくしの額や手には、冷や汗が出ていた。顔色も良くない。
「救急車はっ!!??」
類は、お手伝いさんに向かって叫んだ。
「はい!先ほど呼びました!!緊急でこちらに向かうそうです!!」
「そうか・・。つくし、あともう少しで救急車が来るから!!それまで頑張るんだ!」
「う・・・うん。」
そして、つくしは救急車に乗って病院へと運ばれていった。
「先生!つくしは大丈夫ですかっ!?」
類は、焦りを隠せず、院長に駆け寄る。
「はい。大丈夫です、花沢さん。きっと、彼女も頑張ってますよ。」
「はい・・。」
「それでは花沢さん、待合室でお待ちください。」
類は、待合室のソファーに座った。
いつもこんな僕を思っていてくれる
君の思いやりがうれかった
その心がスゴクスゴクうれしかった
君といると
僕という存在が生きていることわかるんだ
もう一人じゃないって事が
僕には君だけ
君じゃないとダメなんだ
君は世界に一人だけ
君は、なににも変えられない
ほんとにほんとに守りたい
なにに変えても守りたい
君が
僕の
たった一つの
宝物なんだ
「頑張れよ・・・。つくし・・・!!」
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