第1章 予 感
予定日は10月22日。 |
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「ちょっと、そこの夏の敷物押入れの中にいれて! あとお客様用のふとん、圧縮袋に入れるからね! 掃除機もってきて! 早く!」
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おそらく野生動物が繁殖前に巣づくりをするような本能が彼女をそのような行動に駆り立てたのでしょう。そういえば、実家で飼っていた猫が押入れで子供を産んだときもあんな感じで興奮していたなあ。
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そして10月21日の早朝、運動会の会場設営のための早起きにそなえた貴重な睡眠時間はトイレからの叫び声によって破られたのです。 |
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「大変だ! パンツになんかいっぱい出てる。破水?」 内心、これまでの人生で一番びっくりしてうろたえていたのですが、ここではじめてのお産をむかえるみきさんを動揺させてはいけません。 「それはいわゆる『おしるし』ってやつじゃないの?」 と、聞きかじりのいいかげんな知識をならべると、 「そうよね、まだお腹も全然痛くないし・・・もうちょっと様子をみようか!」 その見事な安心っぷりに逆にこちらが慌てます。「違うでしょ!痛くないのに破水してたらそのほうが心配じゃないの!」 |
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そんなこんなでとりあえず病院に駆けつけ検査をすると案の定破水で、即入院となりました。時に10月21日午前6時30分。もう運動会どころではありません。自治会役員のみなさんごめんなさい。 |
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