第2章 嵐の前


 

病院では分娩室に行く前の処置室に直行。夫は白衣を着て付き添いです。しかし、破水はしたものの、みきさんの様子はいつもと変わりません。出された朝食を平らげ、おやつをペロリ。昼飯も完食。でもなかなか陣痛が始まりません。3時のおやつはリンゴでした。・・・ちょっと待て! このままではただ飯を食べにきた食いしん坊じゃないか!

 



 

この日はなぜか出産する人が多く、周りからは、他の妊婦さんが一人で痛みに耐えている苦しそうなうめき声が、そこかしこから聞こえてきます。そんな中、一番平気そうな妊婦に早朝からぴったりと付き添っている夫はひどく間抜けにみえるに違いありません。

 

 

やがて、陣痛促進剤の点滴が開始されました。時をおかず、少しずつですけれどもみきさんはお腹の張りを訴えるようになりました。「痛む?」と尋ねると、「この前、ひどい便秘したときの方が痛かった」 ときおり顔をゆがめるようになってきたので「大丈夫?」と声をかけると、「うんこ出ちゃいそう」 何でもかんでもうんこかよ。まあ、直腸に近い場所にある器官で発生している現象ですので、本人の実感はそんなものなのでしょうが。


ようやく訪れた陣痛に顔をゆがめるみきさん。