第3章 激 闘!


 

みきさんのお腹には何やら測定器がつけられていて、それは枕もとの機械につながっています。機械に表示されるデジタル数字はどうやら、陣痛の強さと連動しているようで、さっきまで30〜40程度だった数字が、今はみきさんが苦しみだすと100から130くらいに跳ね上がります。

 

 

いよいよか、と緊張しながらふと通路に置かれた看護婦さん用のパソコンの画面を見ると、今がんばっている人たちの例の「痛さ度」がモニターされています。すると分娩室にいる人でさえ、痛さ度は60から80程度。130を超えているみきさん、あんたひょっとして滅茶苦茶痛いんでないの? しかし我慢している様子はないし。鈍いのか?

 

 

さすがにそんな冗談も言っていられなくなったのは午後6時すぎ。何度目かの「130超え」の後、いよいよ分娩室に。夫はみきさんの傍らで見よう見まねの「ヒッヒッフー」。そうしている間にも、まわりでは着々と分娩の用意が進められていきます。

                 

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異常に気が付いたのは痛みに耐えるみきさんでした。



す、すいません。うちは立会い出産じゃないんですけど」


「えっ!違うの?」

看護婦さんたちはひどくびっくりしています。そりゃそうだ。早朝からぴったり寄り添ってて、あげくに「ヒッヒッフー」とかやってりゃ勘違いもするよな。

 



  こうして、分娩室を出た夫は待合室で待機するようにと指示を受けました。しかしじっとしているのも落ち着かないもの。意味もなく立ち上がって廊下をウロウロしていると、いかにも婦長さんっぽい年配の看護婦さんに「ちゃんと待合室に座っていてください」と注意されました。ちょっぴり、昔のホームドラマの一場面の気分でした。