竹割り

竹を割ったような・・・と言われるように、竹は真っ直ぐ縦に繊維が通っています。そんなこと子供でも知っとるワ? ひょっとすると最近の子供達はプラスチックで出来た竹もどきしか知らないかもしれませんよ。そこそこの料理屋でも庭の竹垣が模造品だったりします。木と違って釘を打ったら簡単に割れてしまいます。
 と、言う事で竹を縦に割ること、なかでも二等分するのは難しいことではありません。この等分の言葉は竹の巾であり、また反発する力とも言えます。従って丸竹を順次、木で言うところの柾目に割る場合は二等分ですが、割ったものを次に板目に剥ぐときは、表皮側は繊維が密で硬く(強い)内側は柔らか(弱い)ですので、厚みにして概ね4対6でナタを入れます。表皮側の4を更に剥いでいって目的の厚みのヒゴをつくります。

 この二等分の力のバランスが崩れた場合、漫然とナタを押し進めれば力の弱い方(薄い方、細い方)が、割るべき中心線より外側に押しやられ、次第に先細りに割れてしまいます。そうならないためにはナタの腹で強い方の一片を押しやりながら(或いは引き上げながら、)進めれば軌道修正できるでしょう。

 最初はこの等分割りで作業を進めれば失敗は少ないと思いますが、そのうち3等分したい場合が出てきます。2対1に巾を狂わせずに割り進むには、常に2の側に圧力をかけながらナタを進めます。2を押しやりながら返す刃先で1をしゃくる感じです。

※ 写真の場合は2を手前に引きながら(保持する左手は外へ向かって力をかけて、)刃先で1を跳ねています。

竹を持つ左手、ナタを持つ右手とも(左利きの人は逆ですね。)横方向にかなり力を加えて割ります。両の脇を締めて、力を矯(た)めて・・・(これは大事な事!)やりませんとカスを喰って怪我をしかねませんので念のため、ケガは自己責任です。竹の繊維のササクレ対策に、私は作業用の皮手袋を使用しています。

言ってみれば、竹を割る・・・のではなく、予定の巾に“分けていく”と言った方が適切な表現かもしれません。ナタの腹の厚みで竹の繊維を分けて進む様な感じです。


 2対1に自在に割れるようになったら材料つくりも楽しい作業になります。また、材料が一通り整ったら、籠が半分以上出来たも同然です。竹細工、竹工芸を趣味として続けられるかどうかは、この竹割りをマスターするかどうかにかかっていると言っていいのかも知れません。

  良質でよく乾いた竹を割っている時の音をどう表現したら良いのでしょうか。パリパリでもないし、ピシピシでもないようです。ビビビーでしょうか。まあ、何でもいいですけど耳に優しく、脳に快感をもたらす作業です。


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