一、 | 被告株式会社さいとうは別紙物件目録(一)記載の土地につき、被告岡田博は同目録(二)記載の土地につき、被告株式会社一商は同目録(三)記載の土地につき、被告小川智慧子は同目録(四)記載の土地につき、被告丹羽誠は同目録(五)記載の土地につき、被告亀澤大八郎、被告竹下一男、被告三光住宅株式会社は同目録(六)記載の土地につき、被告有限会社◯◯◯◯は同目録(七)記載の土地につき、 |
1、 | 原告が訴外名古屋市に対し、名古屋市私道整備要綱(昭和四九年三月一三日制定)による整備工事施行申請及び私道における公共下水道設置要綱(昭和六一年四月一日施行)による公共下水道設置申請をし、且つ、これに基づき、別紙図面(ハ)記載の道路整備工事及び下水排水設備工事をし、その保持、管理をすることを、 |
2、 | 原告が訴外東邦ガス株式会社に対し、都市ガスの供給設備工事の申込をし、かつこれに基づき、別紙図面(ハ)記載のガス供給設備工事をし、その保持、管理をすることを、 |
それぞれ承諾せよ。 | |
二、 | 訴訟費用は被告らの負担とする。 |
一、 |
原告は、後記住宅地として分譲にかかる翠松園の居住者(約四四〇世帯)、土地所有者らを組合員とし、翠松園地域内道路の使用利権の保持を目的として設立された法人に非ざる社団である。 被告株式会社さいとうは、別紙物件目録(一)記載の土地(以下「本件(一)土地」という)を、被告岡田博は、同目録(二)記載の土地(以下「本件(二)土地」という)を、被告株式会社一商は、同目録(三)記載の土地(以下「本件(三)土地」という)を、被告小川智慧子は同目録(四)記載の土地(以下「本件(四)土地」という)を、被告丹羽誠は同目録(五)記載の土地(以下「本件(五)土地」という)を、被告亀澤大八郎、被告竹下一男、被告三光住宅株式会社は同目録(六)記載の土地(以下「本件(六)土地」という)を、被告有限会社◯◯◯◯は同目録(七)記載の土地(以下「本件(七)土地」という)を、いずれも翠松園地域内に所有しているものである。 |
二、 |
訴外朝倉千代吉、同谷口藤次郎(以下「朝倉、谷口」という)は、もと旧守山町大字小幡字北山二七五八番、同所二七七三番の二筆の土地約一五万坪を共有していた。 朝倉、谷口の両名は、大正の末頃、右土地を翠松園と称する郊外住宅地として分譲する計画を立て、昭和元年頃、これを幅員四メートルないし六・五メートルの道路に面するようにして開設した上、数百筆の土地に分割した。 右分譲土地は、いずれも右道路に接するように分割された。 本件(一) ないし(七)土地は、右道路敷地として分筆された道路の一部である。すなわち、 本件(一)土地は別紙図面 (一)記載のとおり、その北端部分において二股に分岐しており、右分岐点は、凡そ三角形をなし、その北側二辺は一辺の長さ約一二・五メートルである。しかして、本件(一)土地の南北の長さは、右分岐点から南端に至る東側道路が約二〇七・五メートル、右分岐点から南西端に至る西側道路が約二一五メートルである。右西側道路は、その南端の手前約一五メートルの地点で、二股に分岐しており、右分岐した道路の長さは、いずれも約一五メートルである。なお、西側道路の中間辺から東側道路の南端付近にかけて、幅員約三メートルないし約五メートルの道路が、ほぼ半円形に東西両側の道路を連結する地形となっている。また、前記西側道路も、東側道路も、その幅員は約六・五メートルであるが、東側道路の東側部分は、幅員は約二メートルのいわゆる「里道」(国有)となっている。 本件(二)土地は別紙図面 (二)記載のとおり、東西の長さ約六二・五メートル、南北の幅員約四メートルの地形である。 本件(三)土地は別紙図面 (三)記載のとおり、東西の長さ約二〇メートル、南北の幅員約四・五メートルの地形である。 本件(四)土地は別紙図面(四)記載のとおり、道路の全域について幅員約四メートル、概ね南北と、概ね東西にわたる道路の長さを合計した総延長は約一六五メートルの地形である。 本件(五)土地は別紙図面(五)記載のとおり、道路の全域について幅員約四・五メートル、南北の長さは、その北端を基点として南西方へ約一七二メートルの地点で北方へ折れ曲がり、末端に達しているが、前記北端の基点から末端までの総延長は約二一七メートルの地形である。 本件(六)土地は別紙図面(六)記載のとおり、幅員約四メートル、東端を基点として西方へ約一九二メートルの地点で南方へ折れ曲がり、前記東端から南端までの総延長は約二一〇メートルの鉤の手の地形である。 本件(七)土地は別紙図面(七)記載のとおり、東西の幅員は南端で約五メートル、北端で約三メートル、南北の長さ約二九メートルの地形である。(なお、本件(一) ないし本件(七)土地は、公衆用道路であるため固定資産税、都市計画税が非課税となっている。) 朝倉、谷口の両名は、右道路敷地を共有に残したまま昭和二年頃から右分譲土地を順次譲渡するに至ったが、その分譲にあたって発行のパンフレットには、本件(一) ないし(七)土地を含む道路敷地部分を道路と明示し、分譲土地の購入者がこれを随意に通行できることを明らかにしていた。 |
三、 | 右のような本件(一) ないし(七)土地の分筆ないし分譲土地譲渡の経緯等にかんがみると、朝倉、谷口の両名は、前記分譲土地を売り渡すにあたり、購入者のため、前記道路敷地に無期限の無償通行地役権を明示又は黙示的に設定したものというべきである。したがって、右分譲土地を購入して翠松園に居住する者及びその承継人は、いずれも各自の所有土地を要役地とし、本件(一)ないし(七)土地を含む翠松園内の道路敷地を承役地とする地役権を有する。そして、右地役権は、近代都市における住宅土地として利用する目的のもとに設定されたものであるから、その内容は、単に通行権のみにとどまらず、下水排水設備又は公共下水道に連結するための設備、市道に埋設の上水道、都市ガスの基幹管からの導入管設備をすることも含まれるというべきである。 |
四、 | 本件(一)ないし(七)土地を含む翠松園内の道路敷地は、戦中、戦後の混乱期を通過するに及んで、被告らを含む数十名の者に所有権が譲渡されるに至った。そのため、翠松園の住民と右道路敷地所有者との間で紛争が生じ、訴訟によって争われたが、いずれも住民側が勝訴し、結局、大部分は和解により解決し、名古屋市による道路工事等も施工されるに至っている。 |
五、 |
そこで、原告は、前記目的を達成し、組合員たる地役権者の委託に基づき、本件(一) ないし(七)土地についても、名古屋市の私道整備要綱(昭和四九年三月一三日制定)による道路整備工事及び私道における公共下水道設置要綱(昭和六一年四月一日施行)による公共下水道設置の各工事と、東邦ガス株式会社の都市ガス供給工事をする必要があると共に、将来にわたりこれを保持管理する必要がある。 右各工事内容は、翠松園の公道において、現に施工中の道路工事の規模と同一の別紙図面 (ハ)記載のような道路舗装、側溝、下水道(雨水、汚水)設備工事及び同図面記載の都市ガス供給工事である。 そして、右各工事及び工事完成後の保持、管理にあたり、名古屋市及び東邦ガス株式会社は、本件(一)ないし (七)土地の所有者たる被告らの承諾を必要としている。 目下、翠松園内の他の道路舗装、側溝、下水道設備工事及び都市ガス供給設備工事は現に施工中であり、緊急に右承諾を得る必要があるから、予め承諾を求める必要がある。 |
六、 | よって、原告は本訴において被告らに対し、請求の趣旨のとおりの承諾を求める。 |
平成四年 九月 八日
原告訴訟代理人物 件 目 録
別 紙 図 面
(略)
註:当事者からの申し入れにより、主文中当事者名の一部については仮名を使用しています。
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