一、 | 被告らは、原告に対し別紙目録記載の土地につき、原告の求めにより名古屋市等が施工する下水排水設備及び都市ガスの導入設備並びに道路舗装の各工事等をすることを、承諾せよ。 |
二、 | 訴訟費用は被告らの負担とする。 |
一、 |
別紙目録記載の土地(以下本件土地というを含む)旧守山町大字小幡字北山二七五八番及び同所二七七三番の土地は、もと訴外朝倉千代吉、同谷口藤次郎の共有に属していたが、同訴外人らは大正の末頃、右二筆の土地を通称「翠松園」と称する郊外住宅地として分譲する計画を樹て、昭和元年一二月三〇日右土地(以下「翠松園」または「翠松園」土地という)を、いずれの土地も幅員四メートル乃至六・五メートルの道路に接するようにして数百余筆に分割した。 そしてその際に右道路敷地として分割されて生じた道路の一部が本件土地である。 右「翠松園」土地のうち分譲予定地として分割された土地は、昭和二年始め頃から順次譲渡されたのに対し、本件土地を含む道路敷地は他人に譲渡されることなく、前記訴外朝倉、谷口両名の共有に残されていたのである。そして同訴外人らは「翠松園」土地の分譲に際し発行したパンフレットに本件土地を含む道路敷地をすべて「道路」として明示し、分譲土地の購入者が右道路敷地を随意に通行し得る旨を明らかにしていた。右事実に徴すれば、右訴外人らは前記分譲地を売渡すにあたり、その購入者のために右道路敷地に永久存続の無償通行地役権を明示的又は黙示的に設定したものというべきである。 したがって、右翠松園土地の分譲を受けて翠松園の住民となった者及びその承継人は、それぞれ分譲を受けた「翠松園」土地の各自の所有土地を要役地とし、本件土地を含む「翠松園」内の道路敷地を承役地として、無償・無期限の通行地役権を有しているのである。 しかして、右通行地役権は、分譲土地を近代都市における住宅用地として利用する目的のもとにおける設定であるから、その名目は通行地役権であっても、その内容は単なる通行権のみに止まらず、下水排水設備又は公共下水道に連結するための設備(単に下水排水設備ともいう)、市道に埋設せられている上水道、都市ガスの基幹管からの導入管設備(単に上水道、都市ガス導入設備ともいう)をなし得る権利をも当然に包含するものである。 |
二、 |
ところが、本件土地を含む「翠松園」内の道路敷地は、訴外朝倉、谷口両名による土地分譲時より現在にいたるまで、幅員四メートル以上の一般公共用道路の形状を保持して住民の生活道路として、かつ一般公衆用道路として使用されてきたのに拘わらず、戦中・戦後の混乱期を経過するに及び被告らを含む数十名の者にその所有権が移転したため、右道路敷地所有者と住民との間に紛争を起こしたが、左記 (イ) (ロ)、(ハ)事件はいずれも住民側が全面的に勝訴し、(ニ)事件も和解に反対する一部の道路敷地所有者を除き、大部分は和解が成立し、現在は名古屋市による道路工事が施工されるに至っている。 (イ) 昭和三九年(ワ)第二三九一号 通行権確認等反訴請求事件 (ロ) 昭和四四年(ワ)第六八号 水道工事同意請求事件 (ハ) 昭和五一年(ワ)第五六三号 水道工事同意請求事件 (ニ) 昭和六一年(ネ)第五九五号 道路舗装工事同意請求控訴事件 |
三、 |
しかして、原告は「翠松園地域内道路の使用利権の保持」等をその目的として、「翠松園」地域内の居住者等をその組合員として設立された法人に非ざる社団であるが、その組合員にして、かつ前記地役権者である「翠松園」内の住民全世帯(現在約四〇〇世帯)から、右地役権の保持を委託されたものである。 よって、原告は本件土地所有者である被告両名に対し本訴請求に及ぶ。 |
平成 二年 四月 一三日
原告訴訟代理人目 録
所 在 番 地 地 目 地 積 所 有 者 1 名古屋市守山区 二七七三番 公衆用道路 一三九 安 達 勇 大字小幡字北山 七二三 平方メートル 2 右 同 二七七三番 山 林 五二〇 新 興 商 事 二二二 平方メートル 株 式 会 社
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