7月竜
描いてた理想が崩れても 弱さも傷もさらけ出して
ここにある全てに嘘をつかれたとしても 強さと覚悟つなぎ止めて
信じ続けるだけが答えじゃない
たった一歩でもそこから進め 突き破った扉の向こうに また新たな道がある
純粋にロイアルを読みたい方はファルマンの書いた奇数ページ(内容文色緑表記)のみお読み下さい
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「だーーーーーーーーっ」
「エドワード?」
「いつからそこに!?」
ハボックとブレダの間の窪みににいつのまにか金色の頭がひとつ、両手に持った原稿をガタガタと震わせていた。
「あ、済みません。トイレで会ったものですから。」
「お前が連れてきたのかっ、フュリー!?」
男二人がマメをはさみ頭を抱えて悲鳴を上げる。
「どうでもいいですが、エドワード君、原稿を返して下さい。」
「っざけんなーっ!こんなっ、ひ、卑猥で低俗で!けがっ、汚らわしいものっ!今すぐ!無に帰え…」
「低俗とは何です!低俗とはっ。」
バンと鉛筆を机に置くとファルマンはエドに向き合った。思わずエドも身を引く勢いである。ファルマンは長身なので座ったままでも充分エドと対峙できた。
「それが低俗なら貴方に頼まれた分だって‥」
「バ、バカヤローっ。俺のとは違い大佐が出てきた時点でこんなものには一文の価値もねーぜ。っつーより、俺は死んでもこんな事言わん!思わん!!」
「これはあくまで紙上の事。そんな事言ったら貴方のお話でも‥」
「俺のは本物だ!」
「偽物です!現実に戻りなさい!」
「ぅがーっとにかくこれは絶ってーダメ!存在するなど許さな……、あ、でもここ、〃兄さんは急いでいるんだ。なのに、それでもなおボクを心配もしてくれてる。〃ってとこ。この辺りは捨て難いな。」
「五十歩百歩。」
「目くそ鼻くそ。」
原稿の途中で手を止め指差すエドを尻目にハボックとブレダは舌を出した。
「どーでもいいから!返したまえ。君にはこの高尚さは分らん!!」
上からひょいと原稿を取られ、エドが振り向けば澄ました顔でロイがファルマンに原稿を渡していた。
「でたなっ諸悪の根源!」
身構えるエドをロイは軽くあしらった。
「君には言われた無いな。」
「他人の弟使ってへんなもん書かせてんじゃねーっ!」
「ヘンなものではない!純愛だ!!」
ロイの断言にハボックの口からタバコが落ちる。
「あんた意味わかっていってるのか!?」
心底嫌そうな顔をするエドに、ロイは鼻で笑う。
「君の鈍磨な頭では分らんようだから説明するが。まず、君を敵視していないという点だ。」
「そもそも相手にもなってねぇ!」
「黙って聞きたまえ。君にはミス・ロックベルという彼女がいて私に恋で敗れるという設定では無い。つまり、勝負などは問題ではなく、アルフォンス君が私に心を寄せる事のみがこの話のポイント‥」
ビシッ
響いた音がロイの言葉を遮る。床には大きな亀裂が走り、中心にエドの右手が振り下ろされていた。
「言うな!しゃべるな!そんな事はコンマ以下にもにもねー。絶対あり得ない!!」
「これだからお子様は。」
両手を広げてため息をついてみせるロイに、エドは無言でその右手を半月刀に変える。
一触即発。睨み合う二人の頭上から大きな手が伸びファルマンの手から原稿を受け取った。
「へぇ〜、噂通りファルマン准尉って文章が御上手なんですね。」
明るい声の持ち主にファルマンとフュリーを除くその場全員が凍り付いた。表情が読めない分恐ろしく怖い。
「で、このアルフォンスって?」
「あぁ、誰でも良いのですが君の名前がリクエストに挙がってね。変えた方が良いかい?」
「できれば変えてもらいたいですが、これだけ長いとたいへんでしょう。余りに僕と違うので、僕の名前でも僕とは思えませんからいいです。それより、僕も何か書いてもらいたいな。」
そう言って振り向いた鎧はいつも以上に大きくエドとロイの前に在った。
「兄さんと大佐のらぶすとーりーなんて、読みたい人も多いと思うけど!?どうでしょう。」
「それは身の毛もよだつほど面白いでしょうね。一緒に考えてみますか?」
「ぜひお願いします。」
その日、当直のファルマンの仕事が終わるまで、首を振り続ける国家錬金術師達と逃げるに逃げられなくなった同僚の前でアルフォンスとファルマンの文構想は続けられた。合掌
どうして書いたか、7月竜にも不明です。アルの扱いについて欲求不満も在ったし(ガンガンの付録もアニメもアニキャラ商品にまで;爆)、ロイさんもたまにはね‥とも思ったし、あとロイ・マスタングさんからウィルスメールが届いたのも1つの原因かもしれません(人気者だねロイさん。でも7月竜はロイさんじゃ開けないよ。他のキャラにして!;笑)。結果は玉砕ですね。ゴメンナサイ、マスタング大佐。いずれ幸せなヤツを(本当か!??;笑)。
ファルマン文書の続きはこの連作のどっかに置いておきます。バレバレでしょうけど(笑)。ロイアルにしろエドアルにしろエドウィンにしろ(でもこの話では基本のエドアルと前振りのエドウィンはこれ以上出てきません。ロイアルな話のハズなので)中途半端は嫌なのです。
ただ、Hの期待話です。それは想像して下さい(爆)2004/04/10