そして運命の日は来た。
【エド、アルをよろしくね。アルは大人しくて手がかからないから、エドを困らせたりはしない。約束できるわね?アル。】
アルは俺の後ろから母さんのベッドを覗き込んでこっくりと頷いた。
【エド、兄弟仲良く生きて‥ね。母さん、貴方達の幸せをずっと祈って‥】
母さんが最期に呼んだのは、俺でもアルでもなかった。
どうして?どうしてなんだよ!今ここに居もしない奴の事なんか、どうして呼ぶんだよ!?アルをよろしくなんて、アルなんてどうでもいいじゃないか!俺を見てよ。俺の傍に居てよ。俺を置いていかないで!
【兄ちゃん‥暗くなってきたよ。お腹も、空いたし、帰ろうよ!?】
なんてバカなんだろう。失ったものの重さも解らないらしい。こんな奴が、俺と血が繋がってるなんて‥‥‥、血が、繋がってる?
そうだ!母さんを生きかえせばいい。人体錬成の書物やヒントなら、確か父さんの研究室にあったはず。そうさ、等価交換!母さんの体と等価の材料を用意して、あとは
【アル、母さんを呼び戻そう。】
魂の情報。母さんの血を持ってる、要らない存在。
【‥人体錬成は、禁忌だ、よ!?】
人体錬成なんて、禁忌なんていつの間に覚えたんだ?くそ生意気。‥まぁ、いいや。そんな事。
【お前がいれば問題無いさ。今ほどお前が居てくれて嬉しい事は無いよ、アル。】
【ほんと?】
目を輝かせたのが最後で。
母さんを錬成を成し終えるまでの研究や実験・修行の間のアルの記憶は、無かった。
いつもの視線に君が居て呼吸が出来る
なのに
ちっぽけな僕は繰り返す 過ちばかりで
だけど あの日失った愛情をもう1度手にできるなら
消せない罪背負ってこの手にした愛を抱きしめて、迷わずに生きてゆくよ
処何にも成らなくたって それでも必ず君をこの手で守り続ける
手を結ぶ体温がずっと溶け合うように
<3>
ファルマン
純粋にエドアルを読みたい方はファルマンの書いた奇数頁(内容文色赤表記)のみお読み下さい。なお、ぶっらくぶらっく仕立てとなっております。お気をつけて。
アルフォンスの日記より
お母さんが倒れた。お母さん、お母さん、お母さん‥
兄ちゃんは恐い顔をして口を利いてくれない。お医者さんが、お母さんは治らないって‥
嫌だ。嫌だよ。僕言い子で居るから。お母さんの病気が治るなら、僕他所へ行くから。だからお母さん、死なないで。死なないでよぉ。
アルフォンスの日記より
どうしよう、お母さん。兄ちゃんは御墓の前に座ったまま‥。このままじゃ兄ちゃんも病気になっちゃうよ。どうしよう。どうしたら、兄ちゃんはご飯を食べてくれるんだろう。どうやったらベッドで寝てくれる?
アルフォンスの日記より
人体錬成。それでお母さんは帰ってきてくれるんだろうか。帰って来たお母さんは、お母さんなのかな?
だけど、それで兄ちゃんの気が済むなら‥