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中川○はエルリック家か?
についての考察
7月竜
純粋にエドアルを読みたい方はファルマンの書いた奇数頁(内容文色赤表記)のみお読み下さい。なお、ぶっらくぶらっく仕立てとなっております。お気をつけて。
「ところで、アルフォンス君は感想とかないですか?」
急にファルマンに名指しされ、アルは些か慌てた。
「感想と言われても‥」
「鋼の酷さが滲み出ていたのではないのかね?」
「だから、この話の俺は、俺じゃねェ!」
皆の視線が集まる中、アルは原稿に目を落した。
「兄さんが、この話のように思っていたのなら」
「思ってないって!アルっ、信じて‥」
「兄さんがこう言うふうに僕を捉えていて、それでも今までのように接してくれていたのなら、凄いと思うし兄さんの優しさに感謝します。」
「え〜?どうしてよ!?エドヒドイじゃん。」
ウィンリィが頬を膨らますのに、アルは笑ったようだった。
「だって思い出してよ。兄さんは僕を嫌いでも、仲間外れにもせず、面倒も見てくれたし。嫌いなんて一言も言わなかったよ!?それに、右腕と引き換えに僕を呼び戻してもくれた。嫌いな人間にそこまでできるなんて、凄いよ!?すごく優しい。人としても、見習うべき態度だと思う。」
「そりゃ、大将はお前を嫌ってないっつうよりむしろ愛しちゃってる節があるから、呼び戻しもし、いつかお前さんを頂く日まで面倒も見てるだけじゃねぇのか。」
「頂く?」
ゴスッ 八方から拳が入りハボックはリタイアとなった。
「まぁ(余分な事も言ったが)ハボック少尉の言う通りだ。俺はほんとのほんとにお前を愛しちゃってんだ。嫌うなんて何度生まれ変わってもありえないぜ。」
胸を指差すエドに目もくれず、ロイとウィンリィはファルマンを引っ張った。
「それより早く続きを書き給え。必要なら特別休暇を受理しても良い。」
「アルだってわたしと結婚ハッピーエンドを迎えたら、面白かったって感想言いますよ。さ、書いて。」
「人の話を聞けっ!」
アルは原稿をファルマンに返すと首を傾げた。
「これ、続きあるんですか?」
「ええまぁ。当初は国家錬金術師と成り大佐の部下となったアルフォンス君はウィンリィさんと結婚し、エドワード君は
窓の向こう 光の中で お前は微笑む ウィンリィに、俺以外の誰かに
交す言葉も無く 触れる体温も与えられず 俺は存在さえも認められない
お前を追って国家錬金術師に成っても 同じ部隊に配属になっても 無視される事は辛い
お前に、無視されるのは辛いんだ!アルっ
「暗い、ですね。でもこういう事思いそうだわ、エドなら。」
「そりゃ、どう言う意味だよ。」
「イカレそうだな。このまま続くと。」
「鋼がイカレるのは構わんが、私がちっとも出てこんではないか。」
「俺はイカレてねェよ!つぅかアルと俺とのだな。」
「兄さんが可笑しくなっても僕が面倒見るよ。心配しないで!?」
「だからイカレね‥‥‥。イカレてもいっか、な」
反論しかけたエドは覗き込むアルに、前髪の間から見え隠れする耳を赤く染め、顔だけは兄の威厳を携え鷹揚に頷いた。