アルフォンスxウィンリィ編(主人公王子隣国王女編) ファルマン

             
注:これはウィンリィさんのリクエストに基づくものです

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会話レベル
リオールの街で
生を繋ぎとめる為とはいえ、賢者の石という業を背負ってしまったアルフォンスは、国に、そしてホムンクルス達に利用されないようその身を法外の闇に紛わせる道を選択したのだった。

「あ、アル。良かった。やっと追い付いた。」
一瞬、軍部には内緒でエルリック兄弟の護衛を努めているロイの部下、今日はブレダが銃口を向けたが、相手を確認すると、息をついて銃を仕舞った。
そんな事は気にも止めず、ウィンリィは軍の目を逃れ、道無き道を進むエドとアルのもとへ駆け寄った。
ぐにゅ
いつもより幾分高い位置に、走ってきた名残の薄紅を纏った笑顔を確認し、アルは安心混じりの溜息をついた。
「やっと追い付いたって‥ウィンリィ僕は今追われてる身だよ!?危険だから家に戻って。」
「嫌よ。エドもアルも危険危険ってわたしを除け者にして‥。わたしはアルについてくって決めたの!」
「ウィンリィ‥」
「‥足手纏いは、分ってる。でも、独りで家で心配してるのは嫌なの。お願い!わたしも連れて行って。」
何時もは届かないアルの肩も、踏みつけている足台のおかげで容易に額を付けられ、ウィンリィは目を閉じた。
「君の気持ちも分るけど、でも、君のもしもの事が‥ううん、怪我一つでも傷一つでも、君に負わせるのは我慢できない!だからウィンリィ‥」
そんなウィンリィの肩を掴むと、アルは幼馴染を覗きこんだ。その顔を潤んだ瞳で睨みつけ、ウィンリィは首を振る。動きに合わせて止められない涙がはらはらと降った。
「家にいても怪我ぐらいするわ。もし置いてくなら、わたし、待ってる間に何するか分らないわよ。」
「‥分ったよ、ウィンリィ。だから涙を拭いて、ね。君に泣かれるのは辛い。」
アルは自分の腕を抱締める幼馴染の腕をそっと外すと、ハンカチを取り出しウィンイィの頬に優しく当てた。
「一緒に行こう、ウィンリィ。だから‥」
「だから?」
「取敢えず踏みつけてる兄さんから退いてくれる?」
「あら、エド。踏み台になってくれてたのね。ありがと

足元から立ち昇る不穏な空気も、置かれている状況も。ウィンリィの笑顔に影を落す事は出来なかった。




会話レベル
林の中に一瞬金属光を捉えたエド達は、岩陰に身を潜めた。

「ねぇアル、覚えてる?わたしの5歳の誕生パーティ。」
大岩の下、湿った薄暗い空間にウィンリィのはにかんだ声が木霊する。
「あ、うん。確かあらたまってばっちゃん家に兄さんと招待されたんだよね。正装して来いって。」
緊迫した状況でも律儀に答えるのはアルの良いところであり、ロイ達の頭の痛いところでもある。
「おい、静かに‥」
「隣に行くのに正装もくそも無ぇよなぁ。まったく」
しかし緊張感が無いのはアルだけではなかった。面白く無さそうにエドが合いの手を入れる。そんなエドの答えを完璧無視し、ウィンリィはアルの左手と手を組んだ。組んだ手の下をムカデが通り過ぎる。
「嬉しい!覚えててくれたのね。」
「うん。僕にとっては初めてのお呼ばれで。」
「それまでは粗相の心配があったから家で開いてたんだよな。誕生パーティ。」
「誰の粗相だか‥」
エドの突っ込みにウィンリィは顔を背けて呟くと、打って変った笑顔でアルを見上げた。
「ねぇアル。わたしの着てたあのドレスはどうだった?」
「ドレス?あの日はウィンリィ家に行ってすぐ、兄さんとどっちのプレゼントがいいか勝負になって‥ごめん、よく見てなかった。勝負は兄さんが錬金術を使ったから兄さんの勝ちだったけど。」
「いやお前の作ったカエルもでぶっとしててなかなか可愛かったぞ。」
「‥‥あれ、デンのつもりだったんだけど」
「じゃあ一緒に付けてた髪飾りは?あれはわたしのお気に入りだったの。」
エドの方を向いた冑の飾りを引っ張りこちらに向けると、ウィンリィはにっこり笑った。少し引きつっているのは否めない。
「髪飾り?えっと‥あの後すぐ僕が花冠づくりで勝負を挑んで、僕が勝って」
「男が花輪作りで勝ってどうすんだよ。」
「だって兄さんが遊んでくれない時は母さんが!‥花冠を作ると喜んでくれたんだ‥」
アル!
「え?なに、ウィンリィ?」
反対側から入るエドの邪魔に再度、ウィンリィは白手袋を叩きつけた。鋭くアルの名を呼び顔を自分に向けさせると、悲しげな表情を湛えて見せた。
「せっかく作った花冠を、こんなの男の勝負じゃないってエドにバカにされて。泣きそうなあんたにわたしが言った事も、知らないの?」
アルの記憶が過去へと戻る。
そんなの男は作らないとバカにされ、俯いて握り締めた花冠。
涙が零れ落ちる寸前‥‥
「兄さんが僕から花冠を取り上げると、悔しかったら取り返しに来〜いって、原っぱへ駆け出したんだった。僕はそれを追いかけて‥」
「もう!エドの事ばっかり。アルはわたしの事なんてどうでも良いのね。」
「い・いや、そんな事は‥ただ‥」
「悪りぃ〜なウィンリィ。アルってばもう、俺にメロメロだから

エドの顔にレンチがめり込む。
「もうアルなんて知らない!」
顔を覆って走り去るウィンリィにアルは慌てるが、狭い岩場に潜んでいた為すぐには後を追うことが出来ない。
「ちょっと待って、ウィンリィ!何所行くの?離れちゃダメだよ。危な‥‥‥」
幽かな笑い声に、アルは隣を振り向いた。
「ウィンリィは‥いったい何を言いたかったのかな?それとも僕、ウィンリィと兄さんの邪魔してた?」
「邪魔な事なんて何も無いさ。お前はそのまま誤解しててくれ。」
顔からレンチを引っ剥がすと、エドはにひっと笑った。

この騒ぎで足がつかなかったのは、ひとえにブレダ達の努力があったからであった。
しかし、今だ感謝はされていない‥




会話レベル
他の皆が寝静まる中、見張り役は眠る事の無いアルの仕事だった。

「だ〜れだ。」
少女にしては固い手が鎧の目を隠したが、それは意味が無いと少し寂しくアルは自嘲した。それを振り切るように努めて優しく声をかける。
「機嫌は治ったの?」
「機嫌?何の事?」
「ううん。覚えてないなら良いんだ。それよりもう夜更けだよ。皆体を休めてる。ウィンリィも‥」
「ばっちゃんに教えてもらってアル用のオイル、わたしが調合したの。きっと良い出来よ。塗ってあげる。」
「ウィンリィ‥前にも言ったよね。僕達は追われてるんだ。軍にも‥ホムンクルスにも。凄く危険なんだ。休める時に休まないと。僕が見張りをしてるから」
「‥‥、アルはいつもそう。いつも一歩引いていて!どうして、どうしてそんななのよ。」
泣きながら自分を叩くウィンリィにアルはうろたえる。
「どうしたの?ウィンリィ。最近のウィンリィはどこかヘンだよ!?」
「そうよ。わたしはヘンだわ。でも、それはアルのせいよ。だってアル、いつもわたしと距離を置いて話そうとするもの。わたしはアルの話しがしたいのに。アルと話がしたいのに、エドのことばかり」
「そんなことは‥」
「誰か他に好きな子がいるの?」
「え?‥
!?な・何を」
「だって全然わたしの事相手にしてくれないじゃない。すごく寂しいわ。わたしはアルともっと仲良くなりたいの。」
「ウィンリィ‥」
「わたしはね、アル。あんたのことが」
そこまでだーっ!
ツタに絡まり草に覆われながらエドが芋虫の如くずりずりと這ってやって来た。行程の激しさを物語るように肩で息をついている。
「兄さん‥だよね?どうしたの、その格好‥寝てたんじゃ」
「ちっ、もう抜けたの。」
エドは慣れたのか器用に地面を這いながらアルの足元までやってきた。
「あ〜動かないでよ。ますます絡まっちゃう。今、解いてあげるから。」
屈むアルにのしかかり、ウィンリィは何事か甘く囁いた。
ツタを解くアルの手が止まる。不信気にエドが顔を上げると、ウィンリィとアルは20cmの距離で見詰め合っていた。
「ウィンリィの気持ちは凄く‥嬉しい。」
鎧でなかったら絶対頬を染めていっているだろうその口調に、ウィンリィの目尻が下がり、エドの目尻が釣り上がる。
アル!早く解けよ!!
「あ、ごめん。兄さん。」
再び解き始めたアルの背を優しく撫でると
「じゃ、また落ち着いたら、ゆっくりと。楽しみにしてるわ。」
モンローウォークで立ち去るウィンリィの背を、兄弟は其々の思いで見送ったのだった。

いーから早く寝ろ!!!





「積極的だな〜、若いモンは。」
「オジサン発言ですよ、ブレダ少尉‥っいて!殴らなくても‥」
「ま、にしてもアレだな。俺達の苦労が良く現れてる‥」
「ええ。どのリクエストを書いてもついそこにチカラが入ってしまうんですよね。」
「ゲームのシチュエーションとは言え、実際こんなモンだよな、アイツラも。」
「恋は盲目‥」
「ふぅ〜ん。片想いなんだよな、コレ。恋愛じゃなくてさ。」
わ〜〜〜エドワードさん。どこから」
「小さいから気付かなかっ‥」
ドコッ
うめいてリタイアしたブレダの後をハボックが引き継ぐ。
「片想いじゃないだろ!?この後‥」
バシッ
「確かに。相思相愛とは言い難いですね。この王女の相手は別にらしいのが居るし。」
「やっぱ俺らが1番‥」
「兄妹ですからたとえどんなにらぶらぶな会話をしていても本命は他に居ると」
「え‥ええっ!?嘘‥嘘だろ!?」
「さ、次は大佐のリクエストを」
「嘘だろ!?ファルマン准尉。嘘だと言ってくれ〜〜〜っ


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