ブリュッセル旅行記2004


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◆2日目(その2)◆                                 

<ベルギー郷土料理の昼食>

 ビール博物館が予想外(!?)であったので,昼食まで余裕ができてしまった.
こちらのレストランは12時オープンなので,30分くらい時間を潰さないといけないが,お腹が空いて我慢ができない.

 グランプラスをフラフラしているとチョコレート博物館近くの「
ラ・ローズ・ブロンシュ」(Grand Place11)が営業しているようなので,そこに入る事にする.
17世紀の家屋を利用しているらしく,天井のバラの浮き彫りが美しい.
テラス席もあったが,少し寒かったので店内に入り,窓際のテーブルに座る.
グランプラスが見渡せる絶好のロケーションである.
メニューは英語版もあり,まずは基本中の基本である「ムール貝のマリニエール」19.8ユーロと「牛肉のビール煮(カルボナード・フラマンド)」13ユーロを注文.
ビールはトラピストビールのオルヴァルとシメイブルー(各3.5ユーロ).
ビールは個性的な味であったが,美味しく,「ベルギービール万歳!」という気分であった.
ムール貝料理は噂どおり,鍋にドカンと出てきたが(1kgある),美味しいので全部食べる事ができる.
このマリニエールはセロリなど香草がたくさん入っているのだ(白ワイン蒸し<ムール・オー・ヴァン・ブラン>とは違う料理らしい).
夫は日本で食べるムール貝は独特の臭みがあって苦手なのであるが,これは問題なく食べられるそうだ.
牛肉のビール煮はソースが少し甘くて,見た感じはシチューのようである.
お肉がとても柔らかく,量があったのにこれも全部食べてしまった.
付け合せにはフリッツ(フライドポテト)が出された.
満足なベルギー最初のランチだったが,場所柄ちょっと値段が高いような気もした.

  

  
名物の「ムール貝のマリニエール」.向こうは「牛肉のビール煮」.


<憧れのカンティヨン醸造所へ>

 ベルギービールはいろいろな種類があるが,その中で一番興味があったのが
ランビックという自然発酵のビールであった.
カンティヨン醸造所」(Rue Gheude 56)は人工の酵母を一切使わず,自然発酵でビールを作るという古代シュメール人と全く同じ製法でビールを作っているのだ.
マニアックな場所なのか,ほとんどのガイドブックに記述されていないが,マイケル・ジャクソンのビールの本には大きく取り上げられていた.
私はどうしてもここを訪れて,ランビックビールを飲んでみたかったのだ.
場所は南駅近くにあり,ランチの後,グランプラス付近の
ガレとその向かいのチョコレート屋でプラリネを購入し,フラフラ歩いて行くことにした.
思ったよりも遠くなく,13時頃にカンティヨン醸造所(グーズ博物館ともいう)に到着.
閑静な場所にあり,どこが入口か分からないほどである.
とりあえず,適当な扉を押してみると薄暗い倉庫のような場所で,売店などがある.
ここで正解だったようである.
もちろん訪れる人も少ない.
入場料3.5ユーロを払い,どこの国から来たか聞かれた.
「日本だ」と言うと日本語の詳細な説明書がもらえた.

 ルートを説明してもらった後,説明書を片手に「
今日製造されている世界のビールの中で最も不思議なビールであるランビック」の製造過程を見学した.
大きく分けて(1)マッシング(攪拌),(2)ホップ・ボイラーと粉砕機の部屋,(3)穀物倉,(4)冷却槽の部屋,(5)樽貯蔵室,(6)樽の洗浄,(7)ボトリング,(8)地下の貯蔵庫があった.
全体的に薄暗いかび臭い部屋であり,かなり不気味な感じである.
猫が一匹フラフラしており,猫好きの夫は喜んでいた.
この醸造所の一番の見所は(4)冷却槽の部屋である.
麦汁(ウォート)は自然に冷却させ,空気に触れさせるのであるが,この時に
空気に運ばれてきた自然の酵母が根付くそうである.
自然の酵母といってもどこにでもいる訳ではなく,ブリュッセル地域,それもセンヌ川(ブリュッセルを横切る川)のほとりだけと言われているらしい.
つまり,
他で同じ製法を行っても決してランビックと同じにならない訳である.
この発酵の場所は屋根裏に近い場所に設けられており,屋根にはいくつもの穴が開けられており,常に自然の空気が醸造所の中に入り込むように作られている.
ビール職人にとっては聖域と呼ばれる部屋であるが,とても薄汚く,クモの巣がはっていそうな感じである.
ますますランビックへの興味が惹き付けられた.

  

  
これが「冷却槽の部屋」の屋根.穴が所々に開いていて光が射し込んでいる.


 見学を終了すると,いよいよ待望の試飲タイム
このためにわざわざ足を運んだようなものである(笑).
試飲はグーズ(1年もの,2年もの,3年もののランビックをブレンドし,瓶内で再発酵されたもの),クリーク(スカルベーク・チェリーを2年もののランビックに5, 6ヶ月漬け込んだもの),フランボワーズ(チェリーの代わりに木いちごを使用)を楽しむ事ができた.
待望のグーズを飲んでみるが,とても酸味が強い.
こんなに酸っぱいビールは初めてである.
ビールとは呼べないかも..と思ってしまった(笑).
しかし,飲み続けているとその独特な味が病みつきになりそうである(夫は普通のビールの方が良いと言っていた).
クリークとフランボワーズは軽いワインのような感じ.
色も美しいしこれは女性に受けそうである.
売店ではランビックのジャムが販売されており,珍しいので購入しようとしたのであるが,冷蔵保存の必要があるそうなので,諦めた.
どんな味がするのであろう...

  

  
左からロゼ・デュ・ガンブリヌス(フランボワーズ),クリーク(チェリー),グーズビール.


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